コンセプト

おいしい おとうふ造りに対する 私の考え

とうふ造りに学校も教科書もありません。とうふ造りは、機械と一心になり、作り手の技術で決まります。

とうふ技術は、誰から教わるわけでもなく、実践躬行で自分の感性を磨くものです。機械が変われば、とうふの性質も変わり、作り手が変われば、味も変わるものです。

人任せにしないことは、とても重要なことです。

 

にがり打ち。絶妙な感性が要求されます。

 

うまいものづくりは、手間も時間もかかるもの。

  最近は、自宅でおとうふを作る方もいらっしゃるとは思いますが、前回の時より柔らかかったり、堅すぎたり、味も微妙に違ったり等、お心当たりはありませんか?

それは、気温や水温による大豆の浸かり具合の変化や、大豆の挽き具合、水の割合、煮具合、蒸し具合、にがり合わせ時の豆乳の温度、にがり合わせ具合等、どれをとっても複雑に影響し合うからです。

 

毎日、同じ出来映えの、おとうふを造り続けることは至難です。手造りとは言え機械の性能は重要で、その性能の善し悪しで、とうふの出来具合の50%が決まってしまうでしょう。

私は、修業時代にこのことに気づき、自分の技術を向上させながら、機械メーカーと協議して、自分の技量に合う機械を発注。ハンドメイドで改造を繰返し、完成まで1年がかりでした。

 

世界でたった一台の特別機。

 

この特別な機械でも、先にあげた、大豆の挽き具合、水の割合、煮具合、蒸し具合の項目だけ、なるべく一定に保てるようにできますが、他はやはり手造りです。自分の腕前にかかっています。

次に重要なのは、やはり原料の大豆です。国産大豆と一言でいっても、お米と一緒で沢山の品種があります。さらに産地も重要で味を左右しますし、農家の方の心意気も影響することでしょう。作物はその土地と天候に影響され、有名な銘柄でさえ天候次第で劣悪になる可能性も十分考えられます。

 

当店は、国産大豆100%使用。

国内では販売目的で遺伝子組み換え大豆は生産されていません

 

黒豆とうふは、何度も挑戦しましたが、今では幻。。。

 

あえて私は、銘柄の指定はしません。その年年で良い大豆を吟味しながら、一年がかりで最良の大豆を選びます。この一年とは、大豆が一年生作物だからです。次の年の大豆が収穫されれば、同じ銘柄であっても、「成分」「特性」「味」「香」は、微妙に変わり別物に。日々の調整でつくり上げた大豆の選定と定義は、翌年には通用しないものです。料理人が調味料で味を調えることが出来ても、とうふは、それが出来ません。素材の味がとうふの味になります。甘みがあり、香りがよく、えぐみの少ない大豆を早い段階で探し当てないと、吟味だけで煮詰めることなく、一年が終わってしまいます。また、収穫された大豆は生きている為、日々変化します。その変化を読み、順応していかないと四季ある日本では、大豆に振り回される結果になりかねません。そうならないためには、最良な調理法を日々模索する以外ありません。それは、お手本のない手探りの毎日。経験を積む以外ないと私は思います。

 

 

凝固剤に対する 私の考え

今やにがりブームで、スーパーの棚を見てもにがり豆腐で溢れていますが、あえて私は、すましこも優れた凝固剤であると思っております。

 

すましことは、科学名で食品添加物硫酸カルシウム。

天然石膏で天然原石を粉砕選別、にがり同様天然食品添加物です。歴史はまだ浅いのですが戦後主流でした。昭和16年太平洋戦争で他に資源のない日本は航空機体使用マグネシウム軽合金(ジュラルミン)用のマグネシウムをにがりからとらざるを得ず、軍需優先で、豆腐用は配給停止、代替のすましこに強制転換させられた経緯があります。

すましこで凝固させると、箸で持っても崩れない、ツルっとした食感が得られますが、大豆本来の旨みを引き出すちからが劣ります。

天然にがりで凝固させると、特に絹は柔かになりがちですが、味は、抜群に良くなります。

当店ではこの両者の特徴を利用し、季節ものを含め多種のとうふを用意しております。

 

 

揚げものに重きをおく 私の考え

大量生産でコストを抑えることが、ことさら優先されてしまう現在、とうふだけで量販店と戦うのは、最早時代遅れです。独自性をアピールできるのは、手の掛かる揚げものだけしか残っていないのが現状です。機械の進化で何でも合理化してしまう現代社会でも、やはり無理なものは、無理なのです。おとうふに限らず、人間の繊細な動作が要求される物づくりこそ、職人はプライドを持つべきです。

 

国産菜種油を使用。今では貴重な手揚げ。伝統食品を守る最後の砦かもしれません。

 

こちらは、山芋すりおろしがんもどきの生地を練っています。固く絞っためんをとにかく粘りが出るまで練ります。

 

生地は丁寧に丸めます。おいしさには、かならず理由があるものです。日本人に慣れ親しんできたこの伝統食品、製法に合理化はご法度です。

 

こちらは、とうふコロッケを作っています。一つずつ丁寧に衣を付け丸めます。

つねに、お客様のおいしそうに召し上がる姿を心に描き黙々と作業します。

 私たち、二人だけで商品の充実を図るべく、設備(機械)には、こだわりました。それは家一軒、かるく建ってしまうほどの投資でした。正直、ひとのちからを借りたくなりますが、人生に於いて、今が一番ちからの出せる時。ぐっとこらえて日々精進しております。

その機械たちは、私たちの従業員でもあります。大事にこれからも末永く付き合っていきたいと思っています。